2009年10月20日火曜日

一本の樹から一杯のワイン


ボルドー研修で訪問した“シャトー・バストゥール・ラモンターニュ”の中庭



シャトーのオーナーのミシェル・ギャラさん、ラ・パレットにも来店したことがあります。ラ・パレットのことを
覚えてくれていました。とても嬉しいかったです。


ソーテルヌ地区、第1特別級のシャトー・イケムの裏庭です。ソーテルヌ地区を見渡せる一番の高い丘に
あり、全てにおいてトップの貫禄を感じました。


世界の甘口ワインの頂点として名高い ボルドー地方の“ソーテルヌ地区”
ソーテルヌ地区のワインが甘くなる理由は“貴腐ブドウ”にあります。「貴 腐」とは貴腐菌(ポトリティス・シネレア菌)が熟した果皮つくことで生じます。このカビの一種が果皮に小さな穴を開け、ここから中の水分が蒸発すること で、ブドウの糖分を通常の約2倍まで凝縮させます。酵母はアルコール分14度以上で活動を止めてしまうので、発行後には糖分が多く残り、甘口ワインとなり ます。
貴腐菌がつくためには秋に霧が発生することが条件となり、小さなシロン川が重要な役割を果たします。
ボルドー研修で走行中の車中からこのシロン川を見ましたが、言われないと見過ごしてしまうほどの小川でした。菌がついた後も乾燥と日照がなければブドウは腐ってしまいます。そして生産者は貴腐ブドウだけを丁寧に選び、何度にも分けて手摘みをします。
ソーテルヌの甘口ワインはこのような類まれな自然条件と、生産者の努力によってはじめて生まれるのです。貴腐ワインは、一本の樹からグラス一杯しか造ることができません。だからこそ、世界中の人々を魅了しているのでないでしょうか。